弾速計

スリングショット用の弾速計


2018-08-23

市販品は1万円程度。ballistic chronograph。これは光学式。他に電磁誘導式やドップラーレーダー式もあるが光学式が一般的。前後に可視光センサーがあり弾丸が通過したときの光量変化をとらえて弾速を計算する。上部の白い板(ディフューザー)は上部の背景の影響を少なくするもので取ってしまっても動くらしい。自作例としてNuts & Volts Magazine(有料のようだが数ページは無料で参照できる)の
「2017 March」
「2009 June」
がある。2017年の物は可視光センサー方式でセンサーやオペアンプを変更するとたぶん動かない。電源をAC-DCアダプターにしたらノイズで動かない可能性もある。2009年の物は赤外線フォトインタラプタ方式で平凡確実な方法

R0038850.jpg

これは赤外線フォトインタラプタ方式。LEDの間隔が広いのでたぶんセンサーは複数個が一直線に並んでいるはず。センサー1個だと2つのLEDの中間を通過すると検知できない。LEDを多数点灯させるので消費電力が大きくなる

R0038856.jpg

実験回路

R0038851.jpg

LEDは密集配置

R0038855.jpg

弾の通過波形。玉の直径は7.4mmなので一度にLED2個程度の赤外線を遮ることになる。センサーに近いほど遮る量は多くなるので感度は良くなる。立ち上がりが遅いので回路定数は見直す必要がある。弾が球形であるのが原因かもしれない。前後のセンサーが同一の波形になれば計測誤差は出ないが通過する弾のセンサーからの距離や部品の個体差などにより完全一致はしない。センサーを並列に使うと感度が向上し立ち上がりも速くできる

R0038862.jpg

2018-08-24

回路図暫定版。センサーはBPW34。出来るだけ定番の素子を使ったほうが良いのでaliexpressを探した。定番商品は多くの店が出品している。秋月電子のVBPW34と僅かに特性が違うが互換性は高いと思う。センサーが届いたらブレッドボードで特性を確認してから試作回路を作る。砲弾型のセンサーと違って前面にレンズが無いので広範囲の赤外線を検知できる代わりに感度が低くなる

R0038872.jpg

2018-09-02

注文しておいたBPW34は可視光に感度がありすぎて外光の影響を受けそうなので買い置きがある5mm砲弾型センサーを使うことにした。砲弾型でうまくいかなければ秋月電子のVBPW34を買って試してみる。秋月電子では何故か可視光センサーとして分類しているが黒樹脂タイプなので用途は赤外線センサー。可視光にも若干感度があるが黒樹脂でカットしている。データシート上も Daylight blocking filter と書いてある。感度は砲弾型より数桁低い感じ。電流->電圧変換してから微分しないとうまくいかないような気がする

bpw34datas.png

BPW34。波長750nm以下が可視光。赤外線センサーでは無い

akizuki5mm.png

5mm砲弾型赤外線センサー 可視光には感度が無い

vbpw34datas.png

これは秋月電子にあるVBPW34。可視光域の感度を下げている

2018-09-03

BPW34で実験してみたが感度が低すぎてうまくいかず。乳白色板の代わりに照明を使うと動作するが、それなら赤外線を使ったほうが室内照明による影響を受けずに済む。LEDランプ、蛍光灯、パソコンディスプレイなど全部点滅しているのでノイズ原になる。白熱電球すら100Hzで点滅している。点滅していないのは安物のLED懐中電灯くらいでハイパワーLEDを使った物は点滅している。赤外線センサーは屋外では太陽光の影響を受けるが装置をひっくり返して使えば良い

R0038963.jpg

箱の中。センサーは5個並列。電流-電圧変換回路->電圧変化をコンデンサカップリングで取り出す->増幅 という回路

R0038962.jpg

2018-09-04

砲弾型センサー(フォトダイオード)の先端を削って横からの感度を上げる。

R0038972.jpg

赤外線が強すぎてセンサー5個だと出力が飽和している。赤くしたところ以外では反応しない

R0038976.jpg

センサー側から赤外線LEDを見るとこんな感じ。若干輝度のばらつきがある。これは素子のばらつきではなく向きのばらつき

R0038980.jpg

センサー5個を3個に変更。1個でも動作する。LEDに流す電流も減らした。菱形の隙間を弾が通過すると反応しないがセンサーもLEDも大きさがあるのでよほど弾が小さくない限り反応する。LEDのすぐ近くでは不感帯があるが壊さないように注意して撃つので実際は中央付近だけ感度があれば十分。赤い扇型の部分が幾何学的に良好な領域。実際はセンサーの近くを弾が通過すると遮るLEDの数が多くなるので領域の外側でも感度の良い場所がある

R0038982.jpg

スイッチングAC-DCアダプターだと電源ノイズの影響を受ける。黄色が回路出力。水色は増幅回路1段目の出力。反転増幅回路2段で増幅しているので1段目と2段目は出力が反転している。誤反応の周期は10msなので50Hzの商用周波数の影響を受けている

R0038986.jpg

2018-09-05

窓際でテスト。簾があれば問題なし。LEDとセンサーは別電源にしてあるが電圧は同じ。両方ともトランスを使ったシリーズレギュレーター方式なのでノイズは少ない。9Vのスイッチング電源の後段にシリーズレギュレーターを入れるとノイズの影響を少なくできる

R0039008.jpg

装置側から見るとこんな感じ

R0039009.jpg

簾を上げると上側も塞がないとダメ。箱の中に入射する赤外線が強すぎる

R0039013.jpg

屋外でもテスト。動作確認のためオシロスコープで影を作っている。どけても動く

R0039016.jpg

雲や揺れる葉の影響で誤動作ゼロではないが2台の光学スクリーン両方で誤動作しない限りソフトウエア処理で除去できる。この雲は地形の影響で発生しているので直ぐに流れていってはくれない

R0039015.jpg

2018-09-06

光学スクリーンをもう一つ作る。転写失敗

R0039020.jpg

大きいので長手方向にラミネーターを通すと冷えるのが原因か?これは短手方向に入れた

R0039021.jpg

大きいままだと槽に入らないので切って同時にエッチング。表示部は7セグメントLED。液晶より安上がり。反面計測中は表示のストローブが出来ないので数値表示は不可になる。工夫すれば計測中の表示も可能になるがデジタル回路を動かすとノイズが大きくなるので表示は止めたほうが良い。ソフトは骨組みが完成。赤外線LEDは安物で良いので中国製を注文しておいた。届くまでしばらく中断

R0039023.jpg

2018-09-08

どれくらい小さいものまで反応するか試してみた。綿棒の軸を切ったものには十分反応する。米粒サイズ

R0039026.jpg

LEDのリードを1mm程度に切ったものは反応せず。原理が同じなので赤外線リモコンには反応してしまう

R0039028.jpg

赤外線方式の価格はこの程度。扇の両端に少し離れて付いているLEDは通常のLEDで暗いところで使うときの目印だと思う

R0039038.jpg

この製品は裏側の写真があった。たぶんセンサー5個直列

R0039032.jpg

トイガン用は¥3500~¥4000程度。小さな穴の中を狙う必要があるのでスリングショットには使えない。このタイプの物はセンサー5個程度+LED1個の構成になっている。センサーのほうが価格は高いので不自然な構成。LED5個+センサー1個のようにしないのは広拡散タイプの赤外線LEDが安価でレンズ無しの広角センサーが高価だからだと思う

R0039036.jpg

USBケーブルはたぶん電源

R0039037.jpg

スマートホンで結果を確認する機能もある

2018-09-10

ソフトを完成させた。センサーはスイッチで代用。最初の光学スクリーンが弾を検知したらタイマーをゼロリセット、2枚目のスクリーンでタイマーの値を保存。検知してからゼロリセットするまでにも一定の時間がかかる、タイマー値の保存も同様に検知してから少し遅れて行われる。この遅れ時間が2枚の光学スクリーンで同一にならないと計測誤差になる。mikrobasicで生成されたアセンブラーのソースを見て命令クロック数が同じになるようにnop命令を入れて時間合わせをしている。小数点以下1桁の秒速なら誤差は切り捨てられてしまうので無視しても実用上問題ない

R0039042.jpg

2018-09-11

センサー並列と直列で比較してみたが室内では特に差は無し

R0039058.jpg

2018-09-15

LEDを1灯だけプログラム制御。回路を組むのが面倒なのでセンサーの入力端子を出力に切り替えて使っている。スイッチを押すと3μ秒だけ消灯する。3μ秒に反応できればライフルでも使える。ライフルの弾は前後方向に長いので実際の遮光時間はもっと長い。直径6mmの鋼球がライフルの弾丸並みに速く飛んだらという実験。プログラム制御した消灯パルスは立ち上がり下がりが速いが弾丸による遮光速度は遅い。増幅回路は速い変化に強く反応する回路なのでこの実験のほうが良い結果が出やすい

R0039102.jpg

消灯パルスから少し遅れて回路の出力が出る。10μsec/div,1V/div。水色:消灯パルス(パルス幅10μsec)、黄色:回路出力。遅れはフォトダイオードとオペアンプの間に入っているコンデンサの影響のはず。2つの光学スクリーン間で同じだけ遅れるのであれば計測誤差にならない

R0039106.jpg

2018-09-17

出力の遅れが大きいので回路を変更。2018-09-15の改善前波形よりかなり速くなっている。デジタル回路(PICのシュミットトリガ)の閾値は4V付近にある。消灯信号が立ち下がってからセンサー出力が4Vになるまで40μ秒かかっていたが18μ秒に改善している

R0039124.jpg

出力の立ち上がりが遅いので高速オペアンプに変更。MCP6002->MCP6292

R0039127.jpg

先端を削らない状態で実験。中央8灯の感度は良いが左右の感度がかなり低くなる。感度が変わると回路の応答時間も変わる。ライフルの場合はほぼ同じ場所を弾が通過するので問題ないがスリングショットは毎回位置が大きく変わるので計測誤差が大きくなる。弾速は絶対値よりばらつきを計測することが重要

R0039108.jpg

LED24灯->約8灯の実験。左右のLEDをぼろきれで覆っただけ。小型化を想定したもの。特に抵抗値は変更しなくても動作する。LEDを近づけても問題ないはず

R0039110.jpg

2018-09-19

ダイナミック点灯は電流をかなり流さないと屋外で暗い。電源ノイズの影響で値の表示中は計測不能。同回路の回転計を屋外日陰で撮影。シャッタースピードの影響で1桁しか写っていないが2999が表示されている。3m離れると表示値が読みにくい

R0039133.jpg

スタティック点灯にするとこんな感じ。7セグメントディスプレイの下に並んでいるのがスタティック点灯用のシフトレジスター74HC595。40ピンのPICでもスタティック点灯で4桁表示できるが最大定格の350mAではLEDが暗い。モバイルバッテリーが使えるようにUSBコネクターを付けてみたがスイッチングレギュレーターで5Vに降圧してるはずなのでたぶんノイズで動かない。弾速計は電子標的を作るための手段なのでここまでやるか今のところ未定

R0039135.jpg

2018-09-20

モバイルバッテリーは予想通りノイズで動かない。スイッチングノイズではなく電流や電圧の監視タイミングで誤動作しているような気がする

R0039153.jpg

2018-09-21

LEDが届いたので組み立て。手前側スクリーンの動作確認用LEDを点灯させるとそのノイズで後ろのスクリーンが反応してしまうため取り去った。顎のところまでゴムを引いて6mm鋼球で43m/s、7.4mm鋼球で40m/s程度。運動エネルギーは0.82J、1.33J。トイガンの場合6mm鋼球で47.2m/s(0.99J),7.4mm鋼球で41.7m/s(1.45J)が銃刀法の規制値。この数値を大きく超えると思ったがギリギリ収まっている。スリングショットはどんなに強力でも銃刀法の規制を受けない。耳の後ろまで目いっぱい引き切ると73m/sが出るがかなり練習しないと当たらない

R0039168.jpg

左が今日届いたLED。点灯していないところは取り付け向き間違い。輝度差はカメラとLEDの向きの影響。両者にほとんど差は無い。消費電力は7セグメントLEDが - - 表示になっている状態で5V 135mA。殆どが赤外線LEDによるもの。右は秋月電子で100個¥700。これも中国製

R0039169.jpg

2018-09-22

<<この文章は自分用のメモ書き>>割り込みフラグの確認プログラム。通常、割り込み処理は許可したら途中で禁止することは殆ど無い。スクリーン1で割り込みが発生するまでスクリーン2の割り込みを禁止しておくと余計なエラーが起こらないので禁止したい。PICは割り込みを禁止しても割り込みフラグは立つので他の割り込み処理が生きていると禁止しているはずの割り込みルーチンが実行されてしまう。かなりトリッキーなプログラムを書いてこの仕様から逃げる必要がある。割り込みでよく使われるタイマーも同様であるがタイマーはカウント停止ができる。INT外部割込みは割り込み禁止はあるが停止は出来ない

R0039172.jpg
R0039176.jpg

2018-09-23

実験回路の回路図

bcsch.png
回路図+プログラム これは実験回路とプログラムなのでバグがあっても修正されない
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
ballisticchronographeagle415.zip EAGLE 回路図
ballisticchronographmbasicpro.zip mikroBasic プログラム

スタティック点灯のテスト。電流制限抵抗は220Ω。このあたりがLEDの定格ギリギリ

R0039201.jpg

スモークパネル無しだと3m離れると判別困難になる。装置に庇をつけて日陰にするので実際はもう少し見やすくなる

R0039199.jpg

2018-09-25

変更なしで行けると思ったが抵抗値を変更する必要がある。上の回路のR9を330Ωに変更

R0039215.jpg

FusionPCBが$1キャンペーンをやっていたので基板を発注した。一注文に付き1つだけ製造費用が$1になるので複数基板が必要なこの回路は殆ど安くならない。送料は変わらない。書留を止めて追跡可能郵便にしてほしい

R0039217.jpg
inserted by FC2 system