EAGLEユニバーサル基板の自動配線

EAGLEを使いこなしている人にはつまらない内容ですが、初心者はこの方法を思いつくまでに時間がかかるのでユニバーサル基板用の自動配線手順をまとめました。


2008-08-20

ユニバーサル基板を使用するとき誰でもこう思うはずです
  1.ジャンパー線は短くしたい
  2.斜め45度の配線はしたくない
  3.基板の穴ピッチに沿った配線をしたい
  4.基本的に全てスズメッキ線で配線したい
ちょっと面倒ですがEAGLEでも工夫すると自動配線機能を使ってこれが出来ます。
以下はそのサンプルです。パターン面の配線はEAGLEでは青く表示されますが見やすいように黄色くしてあります。赤い線がジャンパー線です。
自動配線するときのポイントは...
  1.当たり前ですが蛇の目基板のピッチにあわせて部品を配置する。
    グリッドと部品のセンターがずれているときはCtrlキーを押しながら部品を移動させます
  2.斜め45度の配線を阻止するためにtRestrict、bRestrictレイヤーに障害物を描いておく
  3.部品の下をくぐるようなジャンパー線を配線させないように
    部品の下のtRestrictレイヤーに障害物を置く
  4.オートルーティングのルーティンググリッドを100mil(=2.54mm)にして自動配線する
  5.ジャンパー線を少なくするために表面(=部品面)の配線コストを最大にする。
以上です。この方法でうまくいかない回路もあると思いますがかなり実用になる配線をしてくれます。

haisen.GIF
先ずはこれをご覧あれ。自動配線の様子。
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
eaglejyanome.wmv MOVIE ピッチが粗いのであっという間に配線が終わります。
ONDOKEI.zip EAGLE ご参考まで 自動配線したEAGLEのファイル。これは温度計の回路です。

【手順】
グリッド表示を2.54mmにします。Defaultボタンを押してグリッド間隔をリセットしてからMultipleを2にしてDisplayをONにします。Sizeを0.1にしてMultipleを1にする方が良さそうな気がしますが、これだとLEDのように2.54mmピッチの2本足部品はグリッドに配置できません。

PICT7599.jpg

蛇の目基板の2.54mmピッチに部品を配置する

PICT7600.jpg

2.54mmピッチのマス目を表示する設定

次なるポイントは斜め45度の配線阻止です。以下の写真で紫色に見えている物が障害物です。描く位置はこの写真を見てください。これはtRestrictとbRestrictレイヤーに小さなRectを配置しています。EAGLEはRestrictレイヤーの上には配線をしません。もちろんこれを描くときはグリッド間隔を小さくして描きます。そして基板全面にこれを配置します。1個ずつ描いていては大変なのでCOPY、PASTEで増殖させます。3~4分あれば160×100の基板全面に配置できるはずです。

PICT7585.jpg

紫色の物が障害物。これで斜め45度の配線を阻止する。

ジャンパー線が部品を差し込んだ穴から配線されないようにする必要があります。これが発生すると一つの穴にジャンパー線と部品のリードの2本を差し込まなければなりません。抵抗なら問題ないでしょうがTO-220パッケージや整流用の足の太いダイオードなどでは問題です。また、DIPパッケージの下からジャンパー線が出るのも問題です。
これを阻止するためには上記同様、tRestrictレイヤーに障害物を置くことで対処します。部品を配置した後に、直接手書きしてもかまいませんが部品数が多い場合、ライブラリーを変更してしまう方が早いかもしれません。部品のピン位置にtRestrictを置くとデザインルールチェック機能を使ったときにエラーになります、これを嫌うのであればピンをArc(=円弧)で囲います。

PICT7590.jpg

ピンの位置のtRestrictレイヤーに障害物を置く。

PICT7588.jpg

これで十分障害物になる

ルーティンググリッドを100milにすれば蛇の目基板のピッチ間隔で配線されます。そしてTopレイヤーの配線コストを最大の99にします。これはRoute,Optimize1~4全てに対して設定が必要です。部品の配置が悪いと未配線が残ったりしますのでEAGLEが配線しやすいよう、配線長が出来るだけ短くなるように部品を配置することが重要です。

PICT7583.jpg

ルーティンググリッドを100milにする

PICT7584.jpg

部品面の配線コストをうんと高くする

特にやる必要はありませんが、標準で青色のBottomレイヤーの色を黄色くすると見やすくなります。

PICT7593.jpg

Bottomレイヤーの色を黄色にしておくと見やすい

配線のチェックは配線図を印刷して、赤ペンでチェック済みの配線の上をなぞっていく人が多いと思います。裏面から見た状態のものを印刷したいときはMirrorを指定します。tRestrictやbRestrictは目障りなので印刷しないようにします。EAGLEは表示されていないレイヤーを印刷しません。また、グリッドは表示されていても印刷されません。

PICT7609.jpg

反転印刷の指定

PICT7607.jpg

印刷したもの

2008-08-24

以下のように、うまくいかない場合もあります。EAGLEは出来るだけ未配線を残さないように努力するので、遠回りになりすぎることがあります。また、ジャンパー線が出来るだけ直線になるようには考慮してくれません。

PICT7617.jpg

ちょっと遠回りすぎる

PICT7610.jpg

L字に折れ曲がったジャンパー線

自動でうまくいかなかった部分はRipup機能で配線を剥がして、手動で配線します。

PICT7619.jpg

Ripup機能

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